人物

トラヤヌスは98年から117年までのローマ皇帝である。ローマ領ヒスパニアのイタリカに生まれた、イタリア半島出身でない最初の皇帝で、老帝ネルウァに後継者として養子に迎えられた職業軍人だった。

何をしたか

ダキア戦争(101年–102年、105年–106年)でほぼ現在のルーマニアにあたるダキアを征服し、その戦利品でローマにトラヤヌスのフォルムと市場、そして113年に奉献された記念柱を築いた。柱の螺旋状の浮き彫りは遠征の経過を物語る。106年にはアラビアを併合し、パルティア戦争(113年–117年)ではローマ軍を一時ペルシャ湾まで到達させた——帝国領土の最大版図である。内政では、イタリアの子どもたちを支援する制度「アリメンタ」を運営し、属州統治をめぐる小プリニウスとの往復書簡でも名高い。117年に没し、ハドリアヌスが後を継いだ。

後世への影響

元老院は彼を「オプティムス・プリンケプス(最良の第一人者)」と称え、後代の皇帝は「アウグストゥスより幸運に、トラヤヌスより優れて」あれとの言葉で迎えられたと伝えられる。いわゆる五賢帝の一人に数えられ、その記念柱は今もローマに立っている。