人物

伝承はホメロスをイオニア出身の盲目の吟遊詩人とし、キオスやスミュルナをはじめ七つの都市がその生地を主張したと伝えられる。ただしこれらはあくまで伝承であり、その生涯のいかなる事実も確かめようがない。

何をしたか

叙事詩を作ったのは一人の詩人か、二人か、それとも長い口承の伝統か。このいわゆるホメロス問題について、現代の研究では、両叙事詩は幾世代にもわたる口承定型詩の産物であり、前8〜前7世紀頃に文字に書き留められたと考えるのが大方の見方である。叙事詩には、猪牙の兜や青銅器時代に栄えた土地の名といったミケーネ時代の記憶と、のちの鉄器時代の社会とが混じり合っており、年代記ではなく詩的な融合体である。

後世への影響

両叙事詩はギリシア教育の中核をなし、アレクサンドロス大王は『イリアス』を枕の下に置いて眠ったと古代の逸話は伝える。西洋文学の出発点として、三千年近くにわたって読み継がれ、翻訳され、作り替えられ続けている。