何が起きたか

現場は元老院議事堂ではなく、ポンペイウス劇場に付属する集会室であった。議事堂が再建中で、元老院はそこに集まっていたのである。そのためカエサルは、内戦で自らが破った政敵の像の足もとに倒れることになった。ティッリウス・キンベルが嘆願にかこつけてトガをつかんだのを合図に、最初に刃を振るったのはカスカであった。傷は23か所に及んだが、のちに遺体を検分した医師は、致命傷はそのうち一つだけだったと判じている。遺体は数時間そのまま室内に置かれ、やがて3人の奴隷が家へ運び帰った。

背景

カエサルはポンペイウスとの内戦に勝利して独裁官となり、のちに終身独裁官となっていた。共和政の終焉を恐れた元老院議員たち、すなわち自らを「解放者」と称したマルクス・ユニウス・ブルトゥスとガイウス・カッシウス・ロンギヌスを中心とする者たちが、彼に対して陰謀を企てた。

影響

この殺害は共和政を回復させるどころか、新たな内戦を招いた。カエサルの後継者オクタウィアヌスとマルクス・アントニウスはフィリッピ(紀元前42年)で暗殺者たちを破ったが、やがて反目し、アクティウム(紀元前31年)でのオクタウィアヌスの勝利によって彼は初代皇帝アウグストゥスとなった。