概要
アトス山は、ギリシア北部ハルキディキのアトス半島にある正教会修道士の自治的な修道共和国である。それ以前から隠修士の存在が伝えられるが、組織的な修道制は963年、アトスのアタナシオスがビザンツ皇帝の後援を受けて大ラヴラ修道院を創建したことに始まる。やがて修道院の連合体へと発展し、今日ではギリシア系に加えセルビア・ブルガリア・ロシアの歴史ある修道院を含む20の主要修道院が、カリエスに置かれた評議会によって統治されている。
役割
アトスは正教世界の霊的・文化的な宝庫である。14世紀のヘシュカスム(静寂主義)の伝統はグレゴリオス・パラマスと結びつけられ、ビザンツ写本・イコン・古文書の収蔵は世界でも有数の豊かさとされる。一方、女性の半島立ち入りを禁じるアヴァトンの規則はおよそ千年にわたって続いており、欧州の諸機関を含め、たびたび批判の対象となっている。
その後
その自治はあらゆる体制の下で保たれてきた。ビザンツ皇帝の下では特権を与えられ、オスマン支配下でも重税を課されながら存続し、今日ではギリシア国内の自治修道士国家として、コンスタンティノープル総主教庁の霊的管轄に属し、その地位はギリシア憲法に明記されている。現在およそ2000人の修道士が暮らし、1988年には文化と自然の両面の価値でユネスコ世界遺産に登録された。正教世界で最も長く続く修道士の共同体、生きたビザンツの制度と評されることが多い。