概要
下駄は桐や杉の一木に歯を削り出すか挿げ、三つの穴に鼻緒を通して裏で結ぶ。足に合わせて作るものではない。踵は台から出るのが正しく、雑なのではない。留めるのは鼻緒だから、一足で幅のある足に合う。江戸の町人はどこへでもこれで出かけ、夜の街路を書いた文章に、石を打つ歯の音は必ず出てくる。
着方と特徴
鼻緒は親指と人差し指のあいだに入り、足は平らに乗る。指は軽く挟むだけで、歩みは踏み出すというより短く滑らせる。高い台は転がらないからである。新しい鼻緒は固く、履く前に手で揉んで広げる。高さは用途で変わる。ふだんは低く、雨や雪には高く、舞妓の履く極端に高い一足は、日常の履物ではなく、その理屈が儀礼に残ったものである。
歴史
高い木の履物は江戸よりはるかに古い。田下駄は弥生から見つかり、二枚歯の形は中世に定まる。江戸の町がしたのは、それを当たり前にしたことである。草履でない者はみな下駄を履き、専門の店が並び、鼻緒が目に見える個人の趣味になった。今は浴衣と祭りに残り、言葉のほうは物より長生きして、玄関の靴箱を下駄箱と呼ばせている。